実行委員長挨拶
実行委員長 冨田 哲也
(公益財団法人日本リウマチ財団常務理事/森ノ宮医療大学大学院保健医療学教授)

皆様こんにちは。「令和7年度リウマチ月間リウマチ講演会」の実行委員長を拝命しております冨田哲也でございます。
今年度のメインテーマ「共に歩む:多職種連携で取り組むリウマチコミュニテイの結束と支援」を掲げて、リウマチ患者さんを中心としたコミュニテイの支援のあり方について、皆様と共に考え、議論できることを大変嬉しく思います。
近年関節リウマチの治療薬は、目覚ましい進歩をとげ、その治療成績は各段に向上してきています。一方で治療薬の選択肢が増えることは、時に治療決定に迷うこともあり、さらに関節リウマチの発症年齢の高齢化や患者さんの高齢化に伴い、臨床現場での治療は単に医師と患者さんだけの関係だけでは成り立たないのが現状です。リウマチ患者さんが日々直面している問題に対して、さまざまな専門職がそれぞれの役割を果たし、連携することで初めて、より良い支援を提供することができると考えます。医師、看護師、薬剤師、理学・作業療法士などの多職種が協力し、患者さん一人ひとりに寄り添った支援を行うことが求められています。私たちの使命は、患者さんがより良い生活を送れるよう、関節リウマチに対する理解と支援を深めることです。
関節リウマチは慢性疾患であるため、患者さんは長期間にわたって治療を受け続ける必要があります。そのため、医療だけでなく、患者さんの生活全般にわたるサポートが重要です。日常生活を支えるために、理学・作業療法士による運動指導や、薬剤師からの薬の正しい服用方法の指導が必要不可欠です。これらの支援は、患者さんの生活の質を高め、治療へのモチベーションを維持するためにも非常に重要です。
さらに、多職種連携を強化することで、患者さんのニーズをより的確に把握し、迅速に対応できる体制が整います。そのためには、医療チーム内での情報共有が不可欠であり、患者さんの状態に応じた柔軟な支援を提供することが可能となります。こうした取り組みが、患者さんにとっては治療への信頼感や安心感をもたらし、医療チームにとってはより効果的な治療結果を得ることにつながります。
今年度の講演会では、リウマチ治療薬の最新情報から多職種連携を進めるための取り組みを通じて得られた経験などを共有する機会を設けております。これにより、リウマチ患者さんを取り巻く支援体制をより強固なものにし、患者さんにとってより良い未来を切り開くための一歩を踏み出せることを願っております。
また、リウマチ患者さん自身も、自らの病気について理解を深めるとともに、医療チームと協力しながら治療に取り組むことが大切です。患者さんと医療チームが共に歩むことが、より良い治療結果を生むことを、私たちは確信しています。
この講演会を通じて、皆様が新たな知見を得て、今後の活動に生かしていただけることを心から願っております。